◆もともと猫にあまり興味のなかった私が、平成9年1月にわが家の庭に来ていた一匹の猫(写真:在りし日のポー)を保護したことがきっかけで猫の魅力に引かれ、今では自分でも驚くほどの猫好きになってしまいました。当時すでに7〜8歳になっていたと思われるメスの三毛猫で、わが家ではポーと名付けて随分可愛がりました。その後わが家には、オスのふうとメスのチャップが来ましたが、ポーとチャップは相性が良くないのか、ある日ポーが家出をしてしまいました。数日間近所を探したところ数軒先の猫好きさんの家で飼われていることが分かり安心したものです。ポーは今年(平成19年)はじめに体調を崩し、最後は気胸と横隔膜の欠損により3月27日に亡くなりました。ポーに出会ったことで、日本の愛護動物を取り巻く様々な問題に目を向けることになり、ボランティア活動にも参加することになった点で、ポーは私にとって忘れることの出来ない猫です。現在わが家には6匹の猫が居ますが、いずれも元は野良猫や捨てられた猫でした。
今わが国は空前のペットブームと言われます。しかし犬・猫をめぐるトラブルも多く、深刻な社会問題となっています。命ある動物たちが飼い主の都合により安易に保健所に持ち込まれたり、違法に捨てられたりしています。また動物虐待も後を絶ちません。捨てられた動物が保護されることは珍しく、ほとんどが放浪の末野垂れ死にするか捕獲されて殺処分されます。
ペットを飼う前に最後まできちんと世話が出来るかよく考えましょう。ペットを飼うことはとても重い責任を伴う行為であることを自覚しましょう。
三重県では平成17年度、殺処分された犬は2114頭、猫は5165頭(大半は子猫)でした。犬の処分数は10年前の3分の1に減りましたが、猫の処分数は減りません。飼い猫に不妊・去勢手術をせずに外で飼う人や、野良猫に不妊・去勢手術をせずに餌だけ与えている人が多いためと考えられます。
飼い主の特定出来ない、いわゆる野良猫の不妊・去勢手術は、野良猫の数と苦情件数を減らすためには是非とも行わなければならない最も効果的な方法です。現在多くの市町村では「不妊助成制度」による補助をしています。制度の廃止を考えている一部市町村があるようですが、この制度を大いに利用することが、制度を存続させる根拠になりますので、多くの皆さまが助成制度を活用されるよう強くお勧めします。
野良猫とは言っても元は飼い主が捨てた猫とその子孫です。フンや鳴き声などで住民に迷惑をかけていますが、繁殖制限とマナーを守り、地域全体の協力で人と共存する道を模索してみてはどうでしょうか。私たちに癒しを与えてくれる伴侶動物たちの命の尊厳について考えてみたいと思います。
保健所には飼い主から持ち込まれた犬と猫、飼い主が捨てた後に捕獲された飼い主不明犬と猫が抑留されています。収容された動物には一日一回ドライフードと水が与えられますが、病気や負傷の治療はしません。抑留期間が3日以上経つと、三重県全域から久居地内にある殺処分場に回収されます。
職員は犬と猫を檻ごとドリーム装置と呼ばれる簡易処分機に入れ、炭酸ガスによって殺処分します。個体によってはすぐに息絶えず苦しんで死ぬ場合があるので、決して安楽死と呼べるものではありません。この殺処分にかかる費用として、毎年県民の税金が一億円使われています。
私たちは抑留されている動物に与える餌を現在の硬いドライフードから軟らかい嗜好性が高い餌に替えて頂くこと、県下10カ所の抑留小屋にエアコンを設置して頂くことを要望しています。夏期には焼け付くほど暑くなるので、クーラーがあれば作業する職員も、心身共に弱っている犬・猫も楽になります。さらに現在は、飼い主から持ち込まれた子犬のみ年間30頭に限り里親募集されていますが、飼い主不明犬と成犬と猫も含めた譲渡事業に取り組んで頂くよう要望しています。
現在ペットを飼っている飼い主の皆さんにお願いです。最後まで愛情を注いで飼って下さい。人生には予測出来ない困難や出来事が起こりますが、如何なる事情があるにせよ、どうか貴方の家族であるペットを捨てないで下さい。また安易に保健所に持ち込まないで下さい。どうしても飼えない場合は、新しい飼い主を探しましょう。ローカル新聞に里親募集記事を掲載してもらったり、インターネットを利用して里親を探したり、動物病院やボランティアに相談するのも良いでしょう。どうか最後まで諦めないで下さい。
また、ペットには電話番号など連絡先を書いた迷子札を付けましょう。万が一行方不明になった場合は、必ず保健所と警察署にペットの写真を持参して連絡しましょう。保健所に収容された犬・猫は、三重県条例により飼い主以外の人に引き渡されることはありません。2日の公示期間満了後、1日以内に飼い主が申し出ない場合殺処分されてしまいます。
これからペットを飼う予定の皆さん。ペットショップで流行の血統書付の動物を買うより、ボランティアが募集する行き場の無い可哀相な犬と猫の里親になって頂けませんか。遺棄されてそのままでは死んでいたであろうところを運よく保護され、温かい家庭に貰われて幸せになっている動物たちが沢山います。「ワン・ニャンコ」などのボランティアが定期的に里親会を開いていますので、お気軽に声をかけて下さい。
野良猫は地域に多大な迷惑をかけていますが、大目に見てやって下さい。交通事故や病気や虐待など過酷な環境で懸命に生きています。飼い猫の平均寿命が15年と言われるのに対し、野良猫の平均寿命は3年ほどと言われます。生まれた子猫の多くは育たず死にます。可哀相な野良猫達にぜひ愛の心で接してやって下さい。住民の皆さんが智恵を出し合い、地域猫制度に取り組んでいる地域もあります。